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絽ざしについて

⊷ 絽ざしの歴史 ⊶

絽ざしは中国の三大刺繡といわれ、清朝時代に蘇州で盛んに作られていました。日本への渡来時期や 技法が考案された経緯は、文献などがないため定かではありません。東大寺建立の際に絽ざしで作られた仏像用の敷物が献納され、その一部が同寺に残っているといわれていることから、奈良時代には日本に伝来し 1200年の歴史があるとされています。

江戸時代には京都の宮中で手すさびとして流行し 別名「公家絽ざし」ともいわれ, 大奥や武家の女性たちに大変好まれました。明治時代に絽ざしは一度廃れましたが 大正時代に入り復活、大正~昭和時代には庶民にまで普及しました。絽ざしをあしらった着物や帯が婚礼のお支度に入ることがひとつのステータスとなるほど憧れの刺繡とされ、また男性の間でも財布や煙草入れにまで流行しました。

太平洋戦争末期まで、絽ざしは海軍の将兵や傷病兵たちにも親しまれ、また旧制女学校の教科にもなっていました。しかし戦後の混乱期に材料店の多くは廃業に至り、さらに西洋文化の広がりによって絽ざしの着物や帯を手掛ける職人は激減し、流通に出回ることもなくなってしまいました。

⊷ 絽ざしのいま⊶

商業的に絽ざしを手掛けている先生は 極ひと握りとなってしまい、店頭で絽ざし商品を見かけることはほとんどありません。材料のお取り扱いも東京駅八重洲口の越前屋さんだけとなり、材料調達もままならないのが現状です。しかし各地で絽ざし教室を開催し、絽ざしの魅力を伝えていらっしゃる先生方もおられます。

絽ざしを後世に残していくためには、趣味として、さらに商業的に絽ざしに携わる人を増やすことも大切ですし、絽ざしの作品をより身近なものとしてお届けすることも必要だと考えます。 この美しい伝統刺繍を受け継ぐべく、日常で楽しんでいただけるようなアクセサリーや小物制作に取り組んでいます。

⊷ 絽ざしの技法 ⊶

絽ざし用具       材料

・絽ざし針       ・絽布  

・木枠         ・絹糸 

・はさみ

・のり

 

これだけです。
木枠に絽布をまっすぐにピンと張り準備完了。

絽の目から目に縦一定方向に絹糸を刺します。横や斜めに刺すことはありません。

絽布に巻きつけるように糸を刺すことで裏面にも糸が渡り、とても丈夫になります。

1段刺し、2段刺し、2段刺して1段戻り…など刺し方によって模様の出方が変わります。刺し方の応用、色の組み合わせによって様々な図柄を表現できます。

絽ざしの特徴は 絽布を全て刺し埋めるところにもあります。時間のかかる作業ですが、最後のひと針を刺すときの喜びはひとしおです。

marikori profile

ビーズショップにてデザイン・制作・企画・仕入・販売・講師などアクセサリーに関する幅広い業務に長く携わる。2011年に「marikori〈マリコリ〉」をスタートし、百貨店や雑貨店、カフェへのイベント出店を中心に活動。

絽ざし作家である黒川朋子先生に師事し、日本手工芸指導協会 絽ざし科師範資格を取得。展覧会や公募展への出展を通し、絽ざし技術の向上や自己研鑽に努めている。2021年「21世紀アートボーダレス展 篝火」にて優秀賞受賞。2023年「21世紀アートボーダレス展 Aurora」にて最優秀賞受賞。

⊷ 絽ざし講座 ⊶

NHK学園くにたちオープンスクールにて絽ざし講座を担当しています。

 場所  : NHK学園くにたちオープンスクール
     国立市中1-9-30国立せきやビル6F
     JR国立駅南口から徒歩2分

 日時  : 毎月第4月曜日 10:00 ~ 12:00

 受講料 : 6ヶ月 6回 20,130円
    (一括納入/ 材料費は別途) 

*講座はいつからでも受講いただけます。受講料は始める日の分からです。

⊷ 作品お取り扱い店 ⊶

Cafe rin(カフェリン)

八王子本町11-13
トーシン八王子本町1F
open 水 木 金 土 日
12:00~17:00

Cafe rinさんへの納品情報
その他イベントへの出店情報などは
JournalまたはInstagramにてお知らせしていす。

⊷ 特集記事 ⊶

貴族に愛されてきた刺繍「絽ざし」を、わたしたちの日常の楽しみに。marikoriが提案する伝統工芸のアクセサリー|iichi|note


iichiさんに特集していただいた記事です。絽ざしのことやmarikoriのことを丁寧に書いてくださっています。
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